旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
それからは、あっという間だった。
通知が届くのを待つこともなく、その場で告げられた不採用。
おまけに去り際には『まぁ、もっと役立つ人間になったらまた受けに来てよ』とまで言われてしまった。
砕かれたやる気に、突きつけられた甘くない現実。
それらに呆然とするしか出来ず、家に帰る気力も起きない私はひとり、駅前の階段の片隅で座り込んでいた。
ぼんやりとするうちに目の前の空はすっかり綺麗なオレンジ色に染まっている。
「……はぁ……」
もう、ダメだ。
仕事なんて見つからない。探したくない。面接をする度にこんな思いなんてしたくない。
資格も特技もないのは自分が悪いけどさ……人の好きなことを笑うことないじゃない!食べることって大切なんだから!
「はぁ……そろそろ家、帰ろうかなぁ」
ここにずっと居ても仕方ないし、家に帰って、観念して実家に電話しようかな……。
そう考えながらも、まだ座り込んだまま動けずにいる。
「おい、大丈夫か?」
すると、突然頭上から降る声。
その声に顔を上げると、そこには私の様子を覗き込むように見る立花さんの姿があった。