旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「立花、さん……?」
どうしてここに、一瞬そう思ってから、ここが恵比寿であり、彼のホテルのすぐ近くであることを思い出した。
「なにしてるんだよ、こんなところで。また空腹で行き倒れか?」
「違います……人生に挫折してるんですよ」
「は?」
深い溜息をこぼしながら言うと、立花さんは意味が分からなそうに首を傾げる。
けれどこれ以上事情を話して、またバカにされたりからかわれるのはごめんだ。
そんな気持ちから、その場を去ろうと立ち上がり、スカートについた埃をはらう。
「とにかく、私は今必死なんです!ほっといてください!すごく大変で落ち込んでて、空腹なんて感じる余裕もないくらい……」
けれど、言いかけた言葉を遮るように、お腹からは『ぐうううう~』と音が鳴る。
「……へぇ?余裕もない、ねぇ?」
「うっ……」
なんてタイミングが悪いの、私のお腹……!
呆れたように笑う立花さんに顔を赤くしてお腹をおさえる。そんな私に、彼は腕を掴むと歩き出した。
「わっ!た、立花さん?なんですか?」
「来い。飯食わせてやる」
「え!?」
ご、ごはんを?立花さんが?
戸惑いながらも、強引なくらいの力で引っ張る彼に早足で必死についていく。