旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「危ない。ったく……飲み過ぎだ、バカ」
そう言うと、玲央さんはお姫様だっこの形で私を抱き上げる。
「な、なにするんですか!離してー!」
「ふらふらになるまで飲んだお前が悪い。大人しく運ばれておけ」
昼間は担がれ、夜は抱き上げられ……あぁ、恥ずかしい。
たしかに飲み過ぎた私も悪いけど、それも玲央さんがドキドキさせるからで……!
抱き上げられたまま胸板に頬を寄せれば、前を見て歩く彼の胸の厚さをしっかりと感じる。
……ドキドキ、するなぁ。
恥ずかしいし、どんな顔をしていいかはわからない。けど、ずっとこのまま腕で包んでいてほしいと思う。
「杏璃、部屋ついたぞ。鍵は?」
「ん……」
懐から部屋のキーを取り出し渡すと、手の空いている檜山さんがドアを開けてくれた。
「立花社長、俺先部屋戻ってますね」
「あぁ。俺は杏璃寝かせたら戻る」
私の部屋に入ることなく505号室へ向かっていく檜山さんは、相変わらずのマイペースっぷりだ。
玲央さんはそれを気にすることなく頷いて部屋へ入った。
玲央さんたちの部屋より少し小さめの、ひとり用のシングルルーム。
その真ん中に置かれたベッドに彼が私の体を下ろすと、柔らかなベッドに体が沈む。
「ベッド……ふかふか~……」
「そりゃよかったな。ほら、掛け布団かけろ」
ごろんとベッドの上を転がると、彼はそっと白い掛け布団をかけてくれた。