旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……これじゃあ、どっちが雇い主かわからないな」
「あはは、本当ですねぇ」
「笑ってないで反省しろ」
そう注意するように言いながらも、口調は穏やかだ。
掛け布団から顔をのぞかせるように玲央さんを見上げれば、彼はそっと目を細めて微笑む。
それと同時に、頬を撫でるように触れるその指先が、くすぐったくて、嬉しい。
くすぐったい。
触れる頬が、ときめく胸が、愛しさをまたいっそう感じさせる。
このまま、ずっと触れていてほしい。
離れないで、そばにいさせて。
撫でて、抱きしめてほしい。
好き
好きだよ
玲央さんのことが、誰よりも
この気持ちを、言葉に出していいんだろうか。
そんな理性は働かなくて、想いはそのまま口に出る。
「……すき、」
不意に声に表れたひと言に、一瞬その場の時間が止まる。
なんてことを、いきなり言っているんだろう。
けれど私は横になったまま、それ以上言葉を補うことも、否定も弁解もせずに彼を見つめた。
すると玲央さんは、先ほどまで細めていた目を丸くし、驚いた顔をして、ほんの少し頬を赤く染めて右手で口元を隠す。
それは、また初めて見る表情のひとつ。
照れて、る……?