旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……玲央さ……」
その反応の意味を知りたくて、問いかけるように名前を呼ぼうとした、瞬間だった。
そっと近づいた顔に、一瞬で私の視界は玲央さんの茶色い瞳でいっぱいになる。
ちか、づいた。
そうはっきりと思った時にはすでに、その唇は重ねられていた。
触れるだけの優しいキスは、唇の感触を感じる間も無く、すぐ離れてしまう。
けれどふたたび唇は触れて、今度はしっかりと、互いの感触を確かめ合うように、深い深いキスをした。
初めて、知った。
彼の、少し薄い唇がこんなに柔らかいこと。
吐息は熱く、こんなに甘いキスをすること。
薄く開いた視界で、こんなに愛おしい眼差しを向けてくれていること。
全て、全て、この距離に来てようやく知る。
好き
好き、
全てが愛しい
だからこのまま、ずっと、このままがいい。
微睡む意識の中、波の音を聞きながら