旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「檜山さん、おはようございます」

「おはようございます。二日酔いしてませんか」



今日も愛想なく話す彼に、頷く。



「はい。あ、もしかして気にかけてくれたんですか?」

「いえ、具合が悪いようなら置いて帰ろうかと」

「置いていくんですか!?」



鬼ですか!!



気にかけてくれた、どころか邪魔者として置いて行かれるところだった……。

檜山さんならやりかねないところがまた恐ろしい。



「檜山、杏璃は起きてたか?起きてるようなら一階でモーニングに……」



話していると、そう檜山さんにたずねながら近づいてきたのは、玲央さん。

檜山さん同様に身支度を終えた玲央さんは「あ、起きてたな」と私を見た。



ところが、目と目が合った瞬間私は玲央さんとは真逆の方向に、思い切り顔を背けてしまう。



し、しまった……これじゃあ、『昨夜のこと覚えてます』『意識してます』って言ってるようなものだ。

けど、昨日、キスしたんだよね……玲央さんと、キス……。



「おい、こら。なに無視してる」

「え!」



昨夜の記憶をぐるぐるとめぐらせる私に、玲央さんはこちらの気持ちも知らずに視界に入り込んでくる。

再び合った目と目にどきっと心臓は跳ね、たまらず私は部屋に引っ込んでドアを閉めた。



「って、おい、杏璃?」

「ま、まだすっぴんなので!身支度したら行きます!」

「へ?あぁ、わかった」



遠くなるスリッパの音に、ふたりが去って行ったのを察する。


< 178 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop