旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「檜山さん、おはようございます」
「おはようございます。二日酔いしてませんか」
今日も愛想なく話す彼に、頷く。
「はい。あ、もしかして気にかけてくれたんですか?」
「いえ、具合が悪いようなら置いて帰ろうかと」
「置いていくんですか!?」
鬼ですか!!
気にかけてくれた、どころか邪魔者として置いて行かれるところだった……。
檜山さんならやりかねないところがまた恐ろしい。
「檜山、杏璃は起きてたか?起きてるようなら一階でモーニングに……」
話していると、そう檜山さんにたずねながら近づいてきたのは、玲央さん。
檜山さん同様に身支度を終えた玲央さんは「あ、起きてたな」と私を見た。
ところが、目と目が合った瞬間私は玲央さんとは真逆の方向に、思い切り顔を背けてしまう。
し、しまった……これじゃあ、『昨夜のこと覚えてます』『意識してます』って言ってるようなものだ。
けど、昨日、キスしたんだよね……玲央さんと、キス……。
「おい、こら。なに無視してる」
「え!」
昨夜の記憶をぐるぐるとめぐらせる私に、玲央さんはこちらの気持ちも知らずに視界に入り込んでくる。
再び合った目と目にどきっと心臓は跳ね、たまらず私は部屋に引っ込んでドアを閉めた。
「って、おい、杏璃?」
「ま、まだすっぴんなので!身支度したら行きます!」
「へ?あぁ、わかった」
遠くなるスリッパの音に、ふたりが去って行ったのを察する。