旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「なにしてんの玲央くん!ちょっと!」
「……うるさい。大きな声出すな」
「大きな声にもなるよ!玲央くんのバカ、浮気者!ちょっと、あんたも離れてよ!玲央くんは瑠奈の結婚相手なんだから!!」
……へ?『結婚相手』って、言った?
私がきょとんとしているうちに、彼女は細い腕で玲央さんの腕を掴むと、ぐいっと体を引き離す。
「えっ……け、結婚相手?」
「じゃなくて、ただのいとこだ」
呆れたように訂正する玲央さんに、彼女はすかさず口を挟む。
「いとこは結婚できるもん!あ、ちょっとさっさとドア開けてよ。瑠奈が日焼けするじゃない」
「あっはい!すみません!」
図々しく指図する彼女の勢いに負け、つい慌てて鍵を開け、ドアを開けた。
「ワンワンッ」
「あっノワール~、相変わらずいい毛並みねぇ」
帰ってきた私たちを出迎えるようにかけてきたノワールに、彼女は微笑むけれど触れることはなく家にあがった。
「ちょっとやだ、空気こもってるじゃない。換気してないの?」
「仕事関係で一泊出かけてたんだよ。一番に上がり込んで文句言うな」
な、なんというか……マイペースな子だ……。
怪訝そうな顔をして続いて家に上がる玲央さんに、私も慌てて続く。
部屋に入ると彼女は遠慮なくソファに座り、ロング丈のスカートの下で足を組んだ。
彼女を横目に締め切ったままの窓を開け網戸にした。
ふわ、と入り込む涼しい風にあたりながら、玲央さんは立ったままあきれたように彼女を見る。