旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「使用人じゃなくて?あんたが?玲央くんの?はぁぁぁぁ!!?」
こ、こわい……!!
ていうか、使用人だと思われてたんだ!
予想はしたけれどその剣幕に押されて、私は肩をすくませる。
けれど瑠奈さんは、威嚇するように目を釣り上げたまま。
「一応聞くけど、あなたどこで働いてるの?出身は?親の仕事は?家柄は?」
こ、これは……
嫁としての資質を、調査されている……!?
けど私はそもそも仕事を失ったなりゆきで婚約者になってしまったし、家柄もなにも、地方で働く平均的な家庭だし……。
正直に言ったところで彼女の反応は想像つくけれど、見栄を張っても仕方ない、と私は意を決して口をひらく。
「い、いえ……先日仕事を失ったばかりで。親は、普通のサラリーマンです」
その説明に、瑠奈さんは『信じられない』といった様子で驚き、綺麗な黒髪の頭をがしがしとかいた。
だよね、自分の好きな人の相手がこれじゃ、苛立ちもあるよね……!
「あんた、本当に玲央くんのことが好きなの?」
本当に玲央さんのことが、好き?
その問いかけは、私の本心をたしかめるかのようだ。
なりゆきで結婚相手になっただけ、なんて、そう言ってしまえばこの場はおさまるかもしれない。
けど、嘘をつきたくない。
はじまりはなりゆきでも、今の私の心は、彼のもとにあるから。