旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「元々仕事がないからと契約しただけですし……玲央さんだって、結婚相手はもっと本気で、真剣に選ばなきゃダメですよ」
そう言って歩き出そうとした私に、玲央さんはガシッと腕を掴んだ。
「ふざけんな。俺は本気で、真剣にお前と結婚したいって思ってる」
痛いくらいの力が込められる手。
まっすぐに見つめられる目。
「……俺のそばに、いてくれ」
その言葉が、本気なんじゃないかって、錯覚させる。
本気だったら、どんなに嬉しいだろう。
だけど
「……離して」
その心が本気だろうと、同情だろうと、私ではその隣につりあわないから。
触れないで、見つめないで
もっと好きに、なってしまうから。
「あ、玲央くん帰ってきたー?」
「瑠奈、お前……」
その時、背後のドアを開けて顔をのぞかせた瑠奈さんに、玲央さんの気が一瞬逸れた。
その隙に私はバッと腕を振り払い、駆け足でその場を飛び出す。
「あっ……杏璃!!」