旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「関さん、なんで……」
「たまたま車で通りがかったらお前が見えたから……ていうかお前、なんで泣いて……?」
関さんにそう言われて、慌てて涙を拭い直す。
けれど上手く止まってはくれなくて、余計自分を滑稽に見せた。
「なんでも、ないです……ほっといて」
すると関さんはそんな私の腕を掴み、涙を拭う手を止めさせる。
「どう見ても、なんでもなくはないだろ。……話聞くくらいならしてやる。来い」
そう言ってそのまま腕を引く彼に、これまでなら強気で拒んだだろう。けれど今はそんな力は出なくて、されるがまま後をついていった。
なんでもなく、ない。
苦しいよ、胸が痛いよ。
玲央さんを好きだと思うほど、切なさが心を締め付ける。
関さんに腕を引かれて歩きながら、私はまるで子供のように、わんわんと泣き続けた。