旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「あっ、玲央くーん!」
ところが、そこで俺を出迎えたのは、黒いロングヘアを揺らした瑠奈だった。
ロビーのソファに座っていた瑠奈は、俺を見つけた途端立ち上がり足早に近づいてくる。
「……瑠奈。なにしてるんだよ」
「おはよっ、玲央くんに会いたくて家行ったらもういないんだもん!こっちまで来ちゃった」
昨日の一件のことなど本人の中ではもうすっかり過去のことなのだろう。
瑠奈はいつも通りの笑顔で言う。
「今日会社のパーティーでしょ?お父様来るならパーティーの前にご挨拶したいなーって思って」
「は?なんのだよ」
「なんのって、決まってるじゃん!瑠奈と玲央くんが結婚しますって!」
その言葉とともに、瑠奈はぎゅっと俺の腕に抱きついた。
「離せ」と振り払おうとするものの、瑠奈はその細腕に力をこめて離れない。
「昨日も言っただろ。俺はお前とは結婚しない」
「なんでー?瑠奈意外と料理も出来るし掃除も得意だよ?玲央くんのためなら美も保つしなんでもしてあげるもん!」
「なんでもする?なら昨日杏璃になに言ったか教えろ」
すかさず問い詰めると、瑠奈は『それとこれは別』とでもいうかのように、腕に抱きついたまま顔を背けた。