旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「立花社長、おはようござい……ま、す」
するとそこに声をかけてきたのは、ちょうど出勤してきたところだったらしい檜山。
檜山は俺に抱きつく瑠奈を見ると、怪訝そうに顔をしかめた。
「……社長、なに会社に堂々と愛人連れ込んでるんですか。さすがに引くんですけど」
「って違う!愛人じゃない!!」
相変わらず正直な檜山は、嫌なものを見るような目を俺に向けた。
「違うもん!愛人じゃなくて、瑠奈が本命!」
「あー……そういうことですか」
「待て待て待て!!嘘言うな瑠奈!檜山も信じるな!」
こいつら……!
あぁもう、ラチがあかない。
そう察した俺は、瑠奈の腕を引き歩き出す。
「きゃっ……玲央くん?」
子供の頃から知っている、というよしみでこれまであまり強くは言えなかったが、仕方ない。
しっかりと話をつけなければ。
そう心に決め瑠奈を連れてやってきたのは、バックヤードにある応接室。
木目模様の茶色いテーブルに白いソファと高級感のある家具で固められた室内に入ると、バタン、とドアをしっかり閉じた。それと同時に瑠奈の腕からそっと手を離す。
「いきなりなに?玲央くん……あ、もしかして瑠奈とふたりっきりになりたくなっちゃった?」
「あぁ。そうだな」
その俺の返事は予想外なものだったのだろう。瑠奈は、少し驚き一瞬顔を緩めた。
「ふたりきりで、改めて話がしたい」
ところが、真剣な顔で言った俺に、話の内容を察したかのように、その顔からは笑みが消えた。