旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……檜山、いいタイミングで伯父さん連れてきてくれたな」
「フロントにいたら『三嶋瑠奈の父親ですが』と声かけられまして。そういやさっき社長が瑠奈って呼んでた気がしたんで」
褒めようとも、その表情は一切変わらず、愛想なく言葉を続ける。
「けどてっきり乗り換えたのかと思ってました。社長は今の子に、三浦さんは関オーナーに」
「乗り換えたってお前なぁ……、ん?」
瑠奈に乗り換えるわけないだろ、そう言おうとして、檜山の言葉が引っかかる。
『三浦さんは関オーナーに』って……どういう意味だ?
「おい、なんで関の名前が出る?」
「昨日の帰り駅前の店に寄ってたら、そこで三浦さんが関オーナーといらっしゃったんで」
昨日……ってことは、あのあと?
駅前で杏璃が、関と……?
「なんか三浦さん泣いてて、関オーナーが声かけて車に乗せてましたよ」
「は……!?」
ただの偶然?それにしては出来すぎてる?
だとすると、杏璃が関に連絡した?
……いや、偶然だろうとなんだろうと、杏璃が関を頼ったことだけは事実だ。
そう思うと、言いようのない苛立ちが込み上げる。
取られたくない、触れられたくない。
強い嫉妬を感じると同時に、付け入る隙を与えた自分に腹がたつ。
「……檜山、今日のパーティー前に頼まれてほしい業務がある」
決心を秘め、檜山に命じる。
伝えよう。この気持ちが、その心に届くまで。
何度だって、繰り返し。
君だから、そばにいてほしい。そばにいたい。
そう、強く思うんだ。