旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……ん……」
ふかふかなベッドの感触と、あたたかな日差しに目が覚める。
クリーニングしたてのような清潔感のある香りを吸い込み、ここが自宅でも、玲央さんの家でもないことに気付いた。
ん……ここ、どこ……。
寝ぼけた頭で、まだ上手く開かない目をこする。
辺りを見渡せば、そこは真っ白な壁の高級感のあるホテルの一室。大きな窓からは太陽の光が注いでいる。
そっか、昨夜は私ホテルに泊まったんだっけ。
でもどこのホテルに、そもそもなんで泊まったんだっけ……。
そうぼんやりと考えながら、ごろんと寝返りをうつ。すると同じベッドの上で「すー……」と寝息を立て眠る姿があった。
それは、やや面長の、黒髪の彼……そう、関さんの姿で、短めの睫毛を伏せすやすやと眠る彼に私の思考は一度固まる。
……ん?
ん?んんん??
な、なんで関さんがここに……ていうか、同じ部屋に、同じベッドに寝て……。
混乱しながらその顔を見つめていると、関さんも朝陽のまぶしさを感じたのか、眠そうにそっと目をひらく。
「……ん……、朝か……」
いつもは綺麗にセットしてあるその黒い髪を手でぐしゃぐしゃとかきながら、こちらを見た。
よく見れば、私と同じシーツの中にいる彼は裸で……裸の男性と、同じベッドで一晩。その状況から想像する昨夜のことに、サーッと血の気が引く。
そんな、私、まさか、関さんと……
「ぎゃっ……ぎゃー!いやー!変態ー!!」
「うおっ!」
とんでもないその想像に、まるで自分が被害者かのように私は悲鳴をあげながら、思い切り関さんの体を突き飛ばす。
その勢いで関さんはノーガードでベッドから落ちた。
見れば彼は上半身の服を脱いでいただけらしく、下はきちんとスーツのスラックスを履いている。