旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
ベッドから降りると、近くにあったソファに座る。手ぐしで髪を整えていると、ちょうど部屋のドアがコンコンとノックされた。
「失礼いたします。オーナー、新しいシャツをお持ちいたしました」
「あぁ、悪いな」
開けられたドアから姿を見せたのは、客室係なのであろう若い女性。
彼女が手にしている綺麗に畳まれた白いワイシャツはきっと、昨夜私が汚したものの代わりの新しいシャツなのだろう。
ドアの方へ近づくと関さんはそれを受け取った。
深い礼をしてその場をあとにした女性に、関さんはバタン、とドアを閉じてシャツに袖を通しながらこちらへ戻ってくる。
「で?お前、昨日家帰らなくてよかったのか?旦那サマが心配してるんじゃねーの?」
「……別に、私の家はあそこじゃないですから」
『旦那サマ』、嫌味っぽく言うその言葉に、ぼそっと小さな声で答えた。
けど、思えば関さん、昨日私が泣いている時もなにも聞かずにいてくれたんだよね。
……なんだかんだ言って、いいところもあるのかも。
その優しさに対して、無言のままでいるのは、ずるいよね。そう思い、口を開いた。