旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



ベッドから降りると、近くにあったソファに座る。手ぐしで髪を整えていると、ちょうど部屋のドアがコンコンとノックされた。



「失礼いたします。オーナー、新しいシャツをお持ちいたしました」

「あぁ、悪いな」



開けられたドアから姿を見せたのは、客室係なのであろう若い女性。

彼女が手にしている綺麗に畳まれた白いワイシャツはきっと、昨夜私が汚したものの代わりの新しいシャツなのだろう。



ドアの方へ近づくと関さんはそれを受け取った。

深い礼をしてその場をあとにした女性に、関さんはバタン、とドアを閉じてシャツに袖を通しながらこちらへ戻ってくる。



「で?お前、昨日家帰らなくてよかったのか?旦那サマが心配してるんじゃねーの?」

「……別に、私の家はあそこじゃないですから」



『旦那サマ』、嫌味っぽく言うその言葉に、ぼそっと小さな声で答えた。

けど、思えば関さん、昨日私が泣いている時もなにも聞かずにいてくれたんだよね。



……なんだかんだ言って、いいところもあるのかも。

その優しさに対して、無言のままでいるのは、ずるいよね。そう思い、口を開いた。




< 205 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop