旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……玲央さんとの結婚、辞めることにしたんです」
そのひと言に、関さんはどこか予想していたかのように大して驚くことなくシャツのボタンを留める。
「へぇ、なんで?あ、優しいだけの男なんてつまんないって気づいたか?」
「つまらなくなんてないですよ!玲央さんは、いい人ですもん!」
意地悪く笑う関さんのこういう言い方は相変わらずだ。
つまらないわけ、ない。
玲央さんといるといつも笑えて、幸せで、胸があたたかくなる。
一緒にいたいって、願ってしまうほど。
……だけど。
「……けど、私じゃつりあわないから」
なんのとりえもない。こんな私では、隣に立つ資格はない。
また泣き出してしまいそうになるのをぐっと堪えて呟くと、シャツを着直した関さんは私の隣に腰をおろし、なにかを考えるようにすこし黙る。
かと思えば次の瞬間、伸ばした右手で私の体を抱き寄せた。
「きゃっ……」
あまりにも突然のその行動に、抵抗も出来ずその腕の中に収まる。
無理矢理、というより優しく包むような力で抱き寄せられ、細く見えるその腕の意外なたくましさを感じた。