旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「関……さん?」
いきなり、なに……?
そうたずねるように名前を呼ぶ。
「じゃあ、俺の嫁になれば?」
耳のすぐそばで、彼の低い声が響いた。
それってつまり、関さんと結婚しないかってこと……?
「……またそうやって、玲央さんに嫌がらせのつもりですか?」
「違う」
「え……?」
以前のこともあり、また冗談かなにかだろうと思いながら顔を上げる。
けれど、すぐ近くの距離で私を見つめる関さんの目は笑っておらず、いたって真剣なものだった。
「今回は立花なんて関係ない。お前自身に、興味があるんだよ」
私自身に……?
予想もしなかったその言葉に、驚き目を丸くする。
そんな私をその目に映しても、関さんは真剣な顔つきのまま。
「立花との結婚、やめるんだろ?ならいいだろ。俺だって、あいつと同じくらい金もあるし安定してる。大切にだってするよ」
「けど……」
「なんで迷うんだよ。立花も俺も、条件は変わらないだろ?」
条件は、変わらない?
そう、だ。
関さんも、こんな立派なホテルを経営していて、安定感もあって、見た目だって素敵だ。
きっと、本当はいいところもある人で、仕事代わりに彼との結婚を受け入れても不幸にはならないと思う。
……だけど、違う。違うよ。
彼の腕の中で、私は小さく首を横に振る。