旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「よくないです。私は……条件で玲央さんを選んだんじゃない。お金があるから、安定してるから、玲央さんを好きになったわけじゃない」
条件なんて、関係ない。
お金がなくたって、社長じゃなくたって、今となにもかもが違うとしても。
それでも私は、玲央さんのことが好き。
彼の優しさを知っているから。
あたたかさや弱さも知っているから。
だから、叶わない想いがどんなに苦しくたって、悲しくたって、関さんに逃げたりはしない。
そう関さんをしっかり見つめて言い切った私に、彼は抱きしめていた右腕をそっとほどく。
そしてそのまま、その手を私の左頬に添えると、むにっとつまんだ。
「ひゃっ!?いきなりなに……」
「それは、あいつもそうなんじゃねーの?」
「え?」
あいつも、って……玲央さんも、ってこと?
「お前が、なんのとりえもない、金もない、ただの大食い女でしかないことくらい、俺だって知ってるんだよ」
「うっ……!」
そんなはっきり言わなくても!
さすがにグサグサっと刺さるその言い方に、反論ひとつもできない。そんな私に、関さんは呆れたように笑う。