旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……けど、私じゃつりあわないんじゃないかとか、世界が違うとか思って」
「そんな言い方するなよ。確かに見てきた景色は違うかもしれない、けど、そんなのお互い様だ」
「え……?」
『お互い様』、?
その言葉の意味を問うように首を傾げると、それに対してもまた玲央さんは真っ直ぐに答えてくれる。
「俺の見てきたものを知らないように、俺は杏璃が見てきたものを知らない。だから、伝え合って、これから先は同じ景色を見たいと願うんだよ」
「私が、見てきたもの……」
そう、だ。
玲央さんがこれまで過ごしてきた世界を私は知らない。けれど、私がこれまで過ごしてきた日々を、玲央さんは知らない。
地元の景色、家族と過ごした家、大切な友達……。それを伝え合って、そして『これから』、ふたり同じ景色を見たいと願ってくれている。
「同情とか思ってるかもしれないけど……考えてみろよ。そもそも、いくら相手が困っているからって、好きじゃないやつを結婚相手に選んだりするか?」
「へ?」
言われてみれば……確かに。
なんとも思っていない相手を『嫁に』なんていうわけがない。
けど、待って。それじゃあ、私にとって都合のいい答えしか思い浮かんでこないよ。