旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「……けど、私じゃつりあわないんじゃないかとか、世界が違うとか思って」

「そんな言い方するなよ。確かに見てきた景色は違うかもしれない、けど、そんなのお互い様だ」

「え……?」



『お互い様』、?

その言葉の意味を問うように首を傾げると、それに対してもまた玲央さんは真っ直ぐに答えてくれる。



「俺の見てきたものを知らないように、俺は杏璃が見てきたものを知らない。だから、伝え合って、これから先は同じ景色を見たいと願うんだよ」

「私が、見てきたもの……」



そう、だ。

玲央さんがこれまで過ごしてきた世界を私は知らない。けれど、私がこれまで過ごしてきた日々を、玲央さんは知らない。



地元の景色、家族と過ごした家、大切な友達……。それを伝え合って、そして『これから』、ふたり同じ景色を見たいと願ってくれている。



「同情とか思ってるかもしれないけど……考えてみろよ。そもそも、いくら相手が困っているからって、好きじゃないやつを結婚相手に選んだりするか?」

「へ?」



言われてみれば……確かに。

なんとも思っていない相手を『嫁に』なんていうわけがない。

けど、待って。それじゃあ、私にとって都合のいい答えしか思い浮かんでこないよ。



< 218 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop