旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……それって、つまり」
けれど、その答えを確かめるように言うと、玲央さんはふっと笑う。
「契約する前から、杏璃のことが好きだったってこと」
そして、そう言うと顔を近付けてそっとキスをした。
この瞬間も、またひとつ彼のことを初めて知る。
ずっと、想いを抱いてくれていたこと。
その胸に、この存在があったのだということ。
そのことがとても嬉しくて、込み上げる愛しさを伝えるように、私は彼の胸元をぎゅっと握りしめた。
過去の景色を伝え合って、互いのことをもっと知ろう。
今の景色は、となりに並んで一緒に見て、この先の未来も、ずっとこうして過ごしていこう。
悲しい思い出も、幸せな出来事も、ふたりで抱きしめる。
何年、何十年後も変わらず、あの家にふたりの笑い声とピアノの音色が響くように。
深い誓いを、この口づけに込めて。
end.