旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
14.番外編SS
あの日、玲央さんからの公衆面前プロポーズを受けて、私は本当に彼の嫁という立場になった。
あとはいつ入籍をしようか、というところでなかなか話が進まずにいる……そんな、半月後のとある夜。
ノワールとともに過ごすリビングで、私はひとり、ソファに座って自分の左手を眺めていた。
リビングの白い照明に照らされる左手薬指には、ダイヤの輝く銀色の指輪がはめられている。
「……本物、だ」
人前でないことをいいことに、だらしなく顔を緩めてにやける。
指輪は本物で、玲央さんからのプロポーズも本当のこと。
私のことが好きだと言ってくれた気持ちも、きっと。
それが嬉しくて、幸せすぎて夢のような気がしてしまって、半月経った今も信じられないと思ってはあの日のことを思い出してにやけてしまう。
足もとで横になるノワールは、そんな私を見て呆れたようにあくびをした。
この指輪も、あのパーティの次の日に玲央さんが、『どうせお前のことだから信じられないとか言い出すだろ』と、この心を見透かすようにプレゼントしてくれたものだ。
そんな玲央さんの行動も嬉しくて、いっそう幸せに思えるわけだ。
……だ、けど。