旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「お疲れ様でした。お茶飲んでいきますか?淹れますよ?」
「いえ、時間も時間ですし帰ります」
気を遣ってお茶をと提案したけれど、この時間だ、彼も早く家でゆっくりしたいのかも。
そうだよね、と納得していると、檜山さんは少しよれた自分のジャケットを整えながら、「じゃあ」と部屋を出ようとしてなにげなくこちらへ目を留めた。
「どうかしました?」
不思議に思い首をかしげる。
「その指輪、よくお似合いで」
それは、私の左手薬指に光る指輪のことを指しているのだと思う。
そっけない檜山さんなりの『おめでとう』に聞こえた気がして、笑みがこぼれる。
そんな私の顔を見て、彼はふっと笑ってその場をあとにした。
檜山さんといい関さんといい、玲央さんの周りの人は皆いい人ばかりだけど、その優しさがどうも分かりづらい人が多いなぁ……。
ふふ、と笑ってしまいながら、ベッドに横たわる玲央さんを見つめた。