旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「ここだ……」
よく晴れた日の、朝9時。
手にした紙に書かれた住所をもとにたどり着いた場所で、私はボストンバッグを手に、驚きその建物を見上げる。
目黒駅からバスで10分ほど揺られた先にある、閑静な住宅街。
大きな家がいくつも並ぶ、恐らくは高級住宅街と呼ばれるこの地で、私の目の前にあるその家は、いっそう目を引く。
どんと構えた2階建てのその家は、ライトブラウンの色のレンガ造りの外壁に、紺色の屋根。白い格子窓や柱がアクセントになった洋館風の家。
綺麗にガーデニングされた庭に囲まれたその建物は真新しいというよりは少し古さを感じさせて、けれどその古さがレトロ感を漂わせていて素敵だ。
すごい、立派な家……。
まるで映画やドラマに出てくるようなその家の雰囲気に、惚れ惚れと見とれてしまう。
ここが、立花さんの家。
独身というからてっきりマンション住まいかと思いきや、こんなに立派な一軒家に住んでいるなんて。
恐る恐る黒い大きな門を開け、一歩中へ踏み込んだ。