旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「お前、夕飯は食ったか?」
「あ……はい。けど、長谷川さんが作り置きしてくれたスープでも飲もうかなって思ってたところで」
「そうか。なら丁度いい、一緒に食うか」
それは、少し意外な提案だった。
彼のことだから、食事くらいはひとりで静かに、と言い出すと思っていたから。
そんな意外に思う気持ちを隠せず問いかけた。
「いいんですか?一緒に、ごはん」
「そりゃあもちろん。“夫婦”だからな」
そう言い切ってリビングに向かって行く彼に、続くように私も歩く。
『夫婦』、その言葉の響きはまだ慣れないし、慣れる日が来る気もしない。
だけど、一緒に食卓を囲める人ができたことは、なんだかちょっと嬉しい。
食べるために生きている。そう思ってばかりいたけれど、それ以外にも大切なものが、ここにはある気がした。
そんな、新しい日々の始まり。