旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
3.旦那様は嘘をつく
ぼんやりと、夢の中で思い出すのは彼と初めて出会った日のこと。
ガーデンタワー東京ではブライダルも行っており、一年ほど前のその日、私は友人の結婚式に参加しにホテルにやって来ていた。
その友人というのも、短大時代に結花と並んで仲がよかった友人のひとりで、そんな仲間の式とあらば、と私も結花もあれもこれもと手伝った。
挙式前には受付を手伝い、披露宴では余興で踊り、二次会では進行も行い……。
『あれもこれも任せてごめん』と友人は謝っていたけれど、彼女の結婚が純粋に嬉しかったから張り切ってしまった。
……そう、1日中まともにごはんを食べることすら忘れて。
普通の人なら『お腹ぺこぺこ~』で済むだろう。
けれど、普通の人以上に空腹感を感じるこの体は、夜に皆と解散した時にはもう体に力が入らないほどになってしまっていた。
お腹が空いた。空きすぎて気持ち悪い。
視界までぐるぐるとしてきてしまって、私はひとり、ホテルの廊下の端でうずくまることしか出来なかった。
『お客様、大丈夫ですか?』
そんな時、声をかけてくれたのが、玲央さんだった。