旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「見て、立花社長よ」
「やっぱりかっこいい~」
周りからひそひそと聞こえてくる声を聞きながら見れば、そこにいるのはダークグレーのスーツに身をつつんだ背の高い姿。
ジャケットの中にはベストを着込み、首元には紺色のネクタイをきっちりと締めている品の良さそうな身なりをした彼。
フロントに流したトップが長めの茶色い髪がすっきりとして爽やかだ。
無駄のない小さな輪郭の顔に二重の目、通った鼻筋と全体が整った顔立ちに、くっきりとした涙袋が女性のような美しさも感じさせる。
その誰が見ても『かっこいい』と第一印象を抱くような見た目をした彼は、レストランの端の壁際でシェフとなにやら話をしている。
「あ、立花さんじゃん。今日もいい男だねぇ」
同じように彼に目を向けていたらしい結花が、惚れ惚れと溜息交じりに呟く。
「ふん、どこが?ちょっと見た目がいいだけじゃん。このサーロインステーキのほうが見た目も味も最高でよっぽどいいもん」
「男と肉を比べてる時点で、あんた女子失格だわ……」
呆れたように手元のグラスの水を飲む結花に、私は『ほっといて!』というように、フォークで刺したお肉をばくっと食べた。