旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



一瞬にしてこの場の女性たちの視線を奪うその男、立花玲央は30歳にしてこのホテルを経営する、若きオーナー社長だ。



親は大手航空会社の社長で、このホテルもそのグループ会社のものだそう。

経営者としての勉強の為にこのホテルを任されたという、ぞくにいう御曹司というやつ。



見た目よし、経済力あり、社会的地位もある……そんな彼を世間が放って置くわけもなく、度々このホテルの名とともにメディアに取り上げられているのをみる。



「でもあんなハイスペックな男がなんでまだ独身なんだろうねぇ。高嶺の花、ってやつかなぁ?」

「性格が悪いからに決まってるじゃん!顔はいいからみんな最初は食いつくけど、あの性悪さにフラれるんでしょ」



結花の素朴な疑問に対しはっきりと言い切って、グラスの中の水をグビッと飲んだ。



「誰の性格が悪いって?」



ところが、突然背後から耳元で囁かれたひと言に、心臓がギクッと音を立てるとともに、動揺を表すように口に含んだ水を「ブッ!」と吹き出した。



こ、この声は……。



聞き慣れた声に、ナフキンで口元を拭いながら恐る恐る振り向く。

すると、そこにいたのは案の定、噂の主である彼・立花さんで……。



悪口を聞かれ気まずい私に対し、つい先ほどまで端でシェフと話をしていたはずの彼は私の椅子の背もたれとテーブルに手をつき、にこりと笑みを見せた。




< 6 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop