旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「杏璃、なにしてるんだ?」
「あっ、玲央さん」
それは今日は休日だからとゆっくりと過ごしていた玲央さんで……きっと私たちの騒がしさに様子をうかがいに来たのだと思う。
玲央さんを見つけた途端、ノワールは大好きなご主人のもとへ泡だらけのまま駆け寄る。
「あっ、こらノワール!」
待ちなさい、と引き止めようとして、つい私はホースを振り回してしまう。
当然、ホースから出た水は辺りにばしゃっとかかってしまうわけで……。
「あ!」
目の前の彼は、あっというまに頭から上半身が水でびしょ濡れになった。
「……ノワールと一緒に俺も洗ってやろうってか?いい度胸してるよなぁ、あぁ?」
「せっかくなので玲央さんの薄汚れた心も一緒に綺麗に……って、違います!すみません!タオル!タオル用意してありますから!」
あぁぁ……なんてことを!
しまった、と急いで蛇口をしめると、庭の端に自分用に用意しておいたタオルを玲央さんに渡す。
ところが、彼はそれを手にすると、自分を拭かずに私の頭にばさっとかけた。