旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



立花さんは、オーナー社長という忙しい立場でありながらも、日曜の昼には度々こうしてレストランに姿を見せ、お客さんに顔を見せている。

それを聞きつけたお客さんが『あそこに行けば立花さんが見られる』とビュッフェに通うようになり……と、それを狙っているのだろう。自分の人気をよく分かっていると思う。
そしてそのついでに、こうして私を見かけてからかうのも忘れない。



というのも、私がこのホテルのレストランと彼と出会ったのも、空腹で倒れかけていたところを立花さんに救われた、というなんとも色気のない出来事が始まりだったから。



おかげでこうして、大食いキャラをからかわれる日々。そんな仲なものだから、私は彼に対して世間の女性が抱く『素敵なオーナー社長』という憧れなど抱いていない。


寧ろ、『すぐからかう嫌な男』という位置付けなのだ。



「けど結花ちゃんも大変だな。折角の日曜日にビュッフェに付き合わされて」



ほらまた。結花の心配をするふりをして、私に対して嫌味っぽい言い方をする。



「私は彼氏と同棲中だからまだいいんですけどねー。食べてばっかりで彼氏のひとりもいない杏璃の将来の方が心配で」

「うっ……!」



そんな立花さんに結花はフォローをしてくれるわけもなく、呆れたように笑う。



ゆ、結花、余計なことを……!

確かに、彼氏ももう何年もいないし、仕事以外の時間はほとんどを食べることかお店の新規開拓に費やしているけれど……。


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