旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「あーっ!」
すると突然、トイレから出てきたみずきちゃんの大きな声がその場に響く。
その声に私は慌てて玲央さんから離れると、みずきちゃんの元へ駆け寄った。
「み、みずきちゃんどうしたの!?」
「あそこ!ママ!」
ま、ママ?
みずきちゃんが指差す方向を見れば、そこにはちょうどエスカレーターから降りてくる女性の姿。
ママを呼ぶみずきちゃんの声が聞こえたのだろう、こちらを見た女性は目を留めると驚き、バタバタと駆け寄った。
「瑞季!やっとみつけたっ……もう、どこ行ってたの!」
「あのね、おにーちゃんたちがいっしょにさがしてくれたのー!アイスもねぇ、たべたんだよ!」
小さな体を抱きしめるみずきちゃんのお母さんは、茶色いミディアムヘアと、黒いカーディガンが確かに私と同じ格好だ。
お母さんの方がスタイルもいいし綺麗だけど……。
そんなことを考えていると、お母さんは私たちに気づきこちらにも目を留めた。
「娘が大変お世話になりました!あっ、お礼を……」
「いえいえ!私たちもみずきちゃんといて楽しかったですし」
ペコペコと深く頭を下げるお母さんの一方で、玲央さんはみずきちゃんに視線を合わせるようにしゃがんでその頭をよしよしと撫でる。