旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「企業交流パーティー、ですか?」
ある日の夜。
帰宅した玲央さんからのひと言に、私が首を傾げて聞き返すと、彼はリビングでスーツのジャケットを脱ぎながら頷いた。
「あぁ、明日の夜に六本木でな。業界最大手の国際ホテルが主催で、ホテル業界のいろんな会社が集められるパーティーがあるんだ」
国際ホテル、といえば国内でも超有名な高級ホテルだ。
そんなところでパーティーだなんて、すごいなぁ。そもそもパーティというもの自体、私には縁遠くてぼんやりとしたイメージしか浮かばないけれど。
「へぇ……あ、じゃあクローゼットにあるタキシード用意したほうがいいですか?それともスーツで行きます?」
「パーティー用のスーツ持って行く。普通のスーツで行って向こうで着替えて会場に直行する。あと、お前も同行しろ」
「へ?」
お前も、って……私も?一緒に、パーティーに?
「って、え!?なんでですか!?」
驚いてつい、大きな声が出る。
「そりゃあもちろん、籍を入れていないとはいえパートナーを連れて行くのは当たり前だからな。そもそもこういう時のためにお前を嫁にしたんだ」
「あぁ……玲央さん本当は寂しい独り身ですもんね」
「おい、言葉に気をつけろ」
そう言いながら、ぎゅっと私の左頬をつねるその指先に、私は「いててて」と小さく声を上げた。
本当のことじゃんか!いや、まぁ私だって人のことは言えないけれど。
逃げるようにその手から離れると、痛い頬をさすった。