旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「あ、でも私、パーティに着ていくような服なんてありませんけど」
「だろうな、知ってる」
って、どういう意味!
玲央さんはフンと鼻で笑うと、脱いだジャケットをバサッと私にかけた。
「私服で待ってていい。16時にここまで檜山が迎えに来るから、あとは檜山に従え」
「え?あ……はい」
し、私服でいいの?
思ったよりカジュアルなパーティーなのかな?
そう考えながら、私はかけられたジャケットを手に取りそっとハンガーにかける。
そんな私に、玲央さんはネクタイをほどきながら視線を留めた。
「それにしても、ずいぶん嫁が板についてきたな」
「……不服です」
「そうかそうか、不服だろうが働かなきゃいけないのはつらいなぁ」
哀れむような言葉遣いでけらけらと笑いながら、彼は私の頭をぽん、と軽く撫で一度自室に戻るべくリビングを出て行く。
またそういう嫌味な言い方をしていく……けど、反論できないのがまた悔しい。
だけど、この家にいることに慣れてきたのも、楽しいと思えていることも、事実。
それを言うのもまた悔しいから言わないけどさ。
撫でられた頭をさすり、彼の手の感触を確かめた。