旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
それから一晩明けた、翌日。
今日もいつものように掃除、洗濯、ノワールの散歩……と家のことを済ませた私は、白いトップスと黒いスカートというなるべく上品な雰囲気のある服に身を包み、身支度を終えて16時を迎えていた。
「杏璃さん、では今夜はお夕飯作らないでおきますね。明日の朝の分だけ作り置きしておきます」
キッチンから顔をのぞかせた長谷川さんに頷く。
「はい、よろしくお願いします。あっ、あとノワールもまだご飯食べてないので!」
「えぇ、あげておきます」
そう話しているうちに、家の前で『プッ』と短いクラクションの音がする。
檜山さん、来たのかな。
リビングの窓から外の様子をうかがえば、家の前には一台の乗用車が停まっている。
家の目の前、ということでそれが檜山さんだと確信した。
「檜山さん来たようなので行ってきますね」
「いってらっしゃいませ。お気をつけて」
バッグを手にしてリビングを出ようとすると、にっこりと手を振る長谷川さんとともに、ノワールも「わふっ」と舌を出して見送ってくれた。