平凡なシンデレラ


差し出されたのは、この間血だらけのヤンキーのところに置いてきたハンカチだった。


もしかして、あの時のヤンキーなの…?


でも、あの時のヤンキーと髪色が違う…。


いろいろ疑問に思うことはあるけど、とりあえずあの人じゃないと分かってホッとした。


チラチラと隣に座ってるヤンキーを見た。


黒髪に金のメッシュを入れていて、今まで見た中で1番というくらいのイケメンだった。


私がチラチラ見ているのに気づいたのか、ダルそうに私の方を見た。



「ハンカチに名前が刺繍されてたから、お前を探したんだよ」


「どうして…?」


「こんなことをする物好きが気になるってある人が言ってたから」



物好きって……。


私なりの精一杯の助けだったのに。



「お前名前は」


「羽山千紗です…」


「そうか」



ーーこの出会いが後の私の人生をガラリと変えるなんてこの時は想像もすらしていなかった。




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