長い夜には手をとって
それに、良かった、あれからはちゃんと眠れたんだ。高熱の時ってよく目を覚ますから―――――――――
と思って起きようとして、ぎょっとした。
私のベッドの隣に、ベッドに頭をもたれかけるようにして伊織君が寝ていたからだった。
掛け布団と毛布を自分の部屋から持ってきたらしく、それを体に巻きつけて、壁に背をつけて座ったままで眠っている。
「えっ?え・・・いお―――――」
私は驚いて起き上がろうとして、更に気がついた。私の右手は、眠る伊織君の左手と繋がっていた。
―――――――お~やあああ~・・・・?
両目を見開いて、一瞬で赤面したのが判った。
・・・あれ?ちょっと、これって・・・おいおい、私ったらまさか・・・。
夢じゃ、なか―――――――――――――
私が起き上がろうとしたからか、伊織君が目を覚ます。小さく何かを呟いて、目をゆっくりと開ける。何度か瞬きをしてから、顔を上げた。
「・・・あ、おはよー凪子さん」
「あっ!えっ!えっと、お、おはよう・・・あのー」
私は急いで伊織君の左手から自分の右手を引き抜いた。
「こ、これは・・・」
ん?と自由になった左手で目元を擦りながら、伊織君は欠伸をする。
それから毛布をのけて、首を回したり腕を上げて伸びをしたりしながら、ぼそぼそと話す。
「あー・・・昨日、水運んできたら、凪子さんがうなされてたんだよ」
「え、わ、私が」