長い夜には手をとって
そんなまさかの理由を言われたら、一体どうしたらいいのだろうか!あれ?こんなつもりじゃ・・・なかった。私は私でまた一人で混乱が始まってしまう。
「・・・えー・・・っと・・・その・・・」
「ああ、もう、何だってこんなに照れてんだよ俺は!」
強い口調でそう言って、伊織君はばさばさと乱暴に髪の毛をかき回す。
「そういうわけだから!嫌だから帰ってこないんじゃない。もう頼むから、人から言われたことを気にして勝手に悲しんだりするのやめてくれ。俺は自分でここに来たし、今は―――――――好きだから、凪子さんが」
耳まで真っ赤だった。それに不機嫌そうに顔を歪めている。伊織君はむすっとした顔で言う。
「凪子さんがどう思ってるか知らないけど、俺、軽い男じゃないよ。惚れっぽい人間なんかじゃない。だから一度誰かを好きになったら・・・かなり真剣だから」
私は声も出せずに、ただじっと彼を見つめていた。
ああもうダメだ!そう小さく叫んで伊織君は勢いよく立ち上がり、そのままバタバタと二階に上がってしまった。ぴしゃっ!と襖の閉まる音。
残された私は一人、呆然としてソファーの上。
体中熱くて、燃えるようだった。
『好きだから、凪子さんが』
わお・・・どうしよう。
・・・折角下がったのに、熱・・・。
今、また、上がったかも。