長い夜には手をとって


「え、あの・・・本気?」

「本気。俺は元気」

 にーっこりと彼は笑う。そして、もう問答無用で首筋に唇を押し付け、両手であちこちを触りだした。

「うあっ・・・」

 ちょっと待って、とか、言えなかった。

 もう凪子さんは俺のものでしょって、全部全部俺にくれたんだよね?って、こんな時にだけ独占欲を見せるなんてずるい。伊織君は嬉しそうに私を抱く。そしてたまにとても切ない目で見詰めてくる。私はもう熱くって現実も夢も一緒くたになって判らなくなってしまった。

 だけど全身で嬉しさを感じていた。

 散々揺らされて声も嗄れた頃、くたくたになるまで体温を分け合った私たちは、狭いベッドでひっついて眠る。

 朝までずっと。

 手を繋いだままで。



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