【coat.】



 階段を下り終わり、前の人に続いて自動じゃないガラス戸から出る。

 前の人が押さえてくれなかったから、勢い良く閉まるガラス戸をいっぱいに広げた掌で受け止める。

 殺しきれなかった勢いと重さに、少しよろめいた。


 けれど後ろから白石くんの手が伸びてきて、重さから解放された。


 細い腕なのに、私より力がある。



 こういうところで、やっぱ男の子なんだって思う。




< 25 / 88 >

この作品をシェア

pagetop