【coat.】



「そう? 女の子って、みんな甘いの大好きだと思ってた」

「男子ってみんな甘いの苦手だと思ってた」


 お互いの認識のずれに、驚いた。

 似たような環境で生活してても、こんなに感覚は違うんだ。


 喋っている間に白石くんは着実に食べていき、あと一口でおしまいというところまできた。

「早いね」

「そう?」

「うん」

 ぱくり、と大きな口に吸い込まれたフォークは、薄くのびた生クリームを表面に纏って出てきた。


 蓋を閉め、丁寧に手を合わせた後の顔は、満足そうな顔だった。




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