君が嫌い

第0部 プロローグ

とある肌寒い夜の駅前に1組の男と女。


『はぁ…はぁ…はぁ…。ちょっと待ちなさいよ！！』


背後から聞き覚えのある女性の声が聞こえる。


恐らく俺を呼んでいるのだろうその声の方向に、嫌々ながら振り向く。
きっとその顔は酷く冷たいものだっただろう。


自分が思っていた通り、例の女性が走って追ってきたのか肩で息をしながらこちらに近づいて来ていた。


『なにか？』


さっきの出来事を思い出してか憤りを覚える自分がいる。


出来る限り声色を変えないように注意したけど震え声だった。


『あんたは私の事を踏みにじった。だから私はあんたを絶対に許さない！！』


これが俺とこの女の出会いである。


男の止まっていた時間が再び動き出す物語。