君が嫌い
言わなければ勝てるのに、余計なことを口走ってしまった。


『私の負けになるのは嫌だけど、気持ち悪いー。彼を呼んでー。』


『彼って言われてもな……。』


人の話を無視して寝室、俺の布団に転がる彼女は誰か他の男性を呼ぶよう言っている。


酒を飲むとその人の素が分かるというが、まさに今俺は彼女の素を見ている気がする。


まあこのルックスにスタイルが良ければ多少性格が悪くても男は近寄ってくるのかな。


それならわざわざ俺のところになんて来ないでその彼といた方が楽しいんじゃないのかな、なんて思ってしまう。


『私の携帯とってー。』


まあ俺には関係ない話か。


『ほいよ。』


リビングにある彼女の携帯を手渡す。


『ありがとう。』


彼女が携帯を操作しているからこれから誰かと電話するのだろう。


他人の話を聞くほど野暮な男じゃない、リビングを抜けて再びトイレにこもることにした。

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