君が嫌い
『パーティーねぇ。……あれつまんないんだよね。それなら勝也とどこか一緒に出かけられた方が楽しいから来ちゃった!』


一瞬心臓がチクリと痛みを襲ってきたような気がした。
照れたから? 嬉しかったから?きっと違う。
じゃあこの気持ちはなんなんだろう。


『大丈夫?』


テーブルに手をつき前屈みの体制。
必然的に顔が近くなるわけでして。


朝お風呂入ったのかな、シャンプーの香りが鼻腔を刺激する。
……って何気持ち悪いこと考えてるんだか。


『ああ、うん。大丈夫。』


『良かった。じゃあ早速行こう!』


『いやいや行かないから。今日はリア充が爆ぜる日だから外に出たら危ないので私は寝かせてもらいまーす。おやすみー。』


『ちょっと何言ってるのか理解出来ないんだけど……。』


『う、うるさい!そもそも君のこと嫌いなんだから一緒に出かける義理なんてないから。』


『それはそうだけど……。』


『と、とにかくもう寝る。今日は諦めて帰って。』


席を立ち寝室へ向かう。
そしてそのまま毛布を顔にかぶる。


後は耳栓して外部の音を完全に断絶。
彼女が何か言って体を揺するけど無視無視。


リズミカルな振動が心地よく意識が遠くなっていくのを感じる。
やっと眠れそうだ。

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