君が嫌い
俺を押しのけて彼女と言葉を交わす金髪イケメン。


『そっかー!それなら行こっかなー!』


『じゃあ行こ行こー!』


『レッツゴー!!』


差し伸ばされたイケメンの手を握るお嬢様。
2人でどんどん歩き進んで行く。


初めからずっとそうだった。
彼女はずっと友達を欲しがっていただけ。


別に俺と友達になりたかったわけじゃない。
たまたま彼女にとって俺が都合よかった相手なだけ。


これで俺以外の友達が出来て自然と距離を置けるんだ、こんな晴れやかな気分はない。


『……行ってらっしゃい。』


それなのに何故俺は素直に笑って送り出せないんだろう。
俺のか細い声に反応して振り返った彼女はどこか困惑しているように見えた。


気まずい空気が流れる。


『……勝也?』


『じゃあ俺帰るわ!』


逃げるようにその場から走り去る。










『あれ?いつの間に?』


額に汗を浮かべ気付けば家の近くまで走っていた。


首に巻いたマフラーを外す。
冷たい風が上昇していた体温を下げる。
今はその風がとても心地良い。

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