君が嫌い
一歩一歩の足取りが重たい。
家までの道のりが遠く感じる。


やっぱりラーメン食べるべきだったか。
いやいや、こんな日にラーメンはないか。
自嘲気味に笑う。


『ゼェ…ゼェ…やっと着いた。』


休憩を挟みつつ家まで到着。
もう2度と買い過ぎをしないと決意した。


郵便受けを確認して玄関へと向かう。


『あれ?なんでいるの?』


『か、かづやー。どこ行っでだのざー。さささ寒いよ。ガクガクガク。』


ブルブルと震えているお嬢様が鼻水を垂らしながら玄関前で立っていた。


『な、なんでっでかづやが先帰っちゃっだからじゃん。ぞんなごどより早ぐ開けでよー。』


『あ、ごめん。』


急いで玄関の鍵を開けて中に招く。
部屋に上がると鼻水はそっちのけで炬燵へとダイブ。
スイッチ付けっぱなしで行っといて良かった。


『やっぱりここは落ち着くよー。勝也の匂いー。』


『それやる前に鼻かんで。』


今にも毛布に顔を埋めようとしていたからそれを制止させてティッシュを渡す。


鼻をかんだティッシュを俺に渡して毛布に顔を埋めるお嬢様。


……本当リアルってクソだ。
思い通りなんて全くならない。


せっかく突き放せたと思ったんだけどな。


『チキンたくさん買ってきたから一緒に食べる?』


『うん!食べる!!』


だけどこんな日も悪くないか。

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