君が嫌い
何でこんな事になってしまったのだろう。
出来ることならあの時に戻りたい。


それは不可能だって分かってるから代わりに違う事を願おう。


もう一言もこいつの声を聞きたくないです、お願いします、私を助けてください。


『さっきから溜息ばかりしてどうしたのよ。溜息すると幸せが逃げていくのよ。ああでも、私と出会えた事が幸せよね。なら溜息なんてしないで喜んだらどうかしら。』


神は俺に試練を与えるのですね。
分かりました、それならもう頼みません。


元はと言えば自分が蒔いた種、自分で解決しなければ男の名が廃る。


『ああそっすね。ハハッ。』


引きつった笑顔を相手に見せる。
俺ちゃんと笑えてるかな。


『やれば出来るじゃない。やっぱり料理は笑い合いながら食べるのが美味しいわ。』


俺の笑えてるのか分からない笑顔に満足したらしい。
俺は笑ってないんだけどね、勝手に勘違いしてくれたようで助かった。


『あんたも早く食べなさいよ、料理人が一生懸命作ってくれた料理を温かいうちに食べないなんて勿体無いわ。あんたが食べないなら私が食べる。』


そう言うと俺の注文したドリアを取り上げ一気に平らげてしまった。
猫舌だから冷まさいと食べられないだけなのに。

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