君が嫌い
本当は怒鳴りつけてやろうと思っていた。
だけどさっきのビンタの件もあってなのか元々ヘタレだからなのか分からないがガツンと言えなかった。


『あ、あんたなんかにそんな事言われる筋合い無い。あんたは私の言う事だけ聞いていればいいの。』


その言い草はまるで小学生だ。


『とりあえずさ、スタッフさんに連絡して体調が悪くなったから無断で早退してしまいました。すみません。って言っときなよ。そうすればクビにはならないだろ。』


ああ何で俺がこんな奴の為にアドバイスしているんだろう。
つくづく感じる。俺って優しいな。


『う、うん。分かった。今電話してみる。』


携帯を取り出し少し離れた所に移動して電話をかけ始めた。


今やけに素直だったな。
絶対あいつなら男のあんたなんかに言われたく無いの一言言われると思っていたけど。

< 32 / 145 >

この作品をシェア

pagetop