君が嫌い
じゃあ何故見てるだけでイライラする女と一緒にいるかと言うと深い理由があって。
遡ること2時間前……









とある大人チックなホテルにて


『今日はありがとう!おかげでスッキリしました!!』


興奮した豚のように鼻息を荒く立てながらそう伝えたのは、俺こと寺澤勝也です。
とある儀式をした後の俺はいつもこうなってしまう。


『はぁーい。本日もご利用ありがとうございました!』


笑顔でそう伝えてくれたのはまどかと名乗る女性。
今日初めての人だったけど、美しすぎる。


例えるなら、まるで女神。
彼女を見ていると汚い心が浄化されていく感覚を味わう。


俺は月に2回儀式を行っている。
簡単に言うと女性が俺の儀式の手伝いをしてそのお礼でお金を払うシステムで……もう面倒だな、風俗だ。


就職してから現在まで毎月同じペースで通っている。
常連と言われてもおかしくないと自負している。


よくよく考えると向こうからは相手がいない可哀想な人だと思われているのかもしれない。


俺にだってこんな店に来なくたって1人や2人……。
いねーよ、文句あるか。
畜生、バカにしやがって。


『勝也さんが優しくて良かったです!』


素敵な笑顔で俺を見ている。
ああ、俺はなんてどうでもいい事で怒っていたんだ。


今日この笑顔を見るために為に俺は通い続けたんだ、間違いない。

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