君が嫌い
どんな人でも自分が嫌われていると分かれば自然と離れていくのが普通だ。
でも彼女は違う、いつまでもしつこく絡んでくる。


蔑とは交流したくないけど純粋に気になった。


『それはちゃんと後で話すから。だから今は黙ってついてきてほしい。』


背中越しだからどんな表情をしていたのか分からない。
ただ、分かった事はその声がとても嬉しそうでさらに俺の心がかき乱されただけだった。










『まだですかー?どれだけ遠い店予約したんですか。』


彼女の言葉に従ってからもう20分近く歩いている。
気付けば隣駅近くまで歩いていた。


『もうすぐで着くから文句言わずに歩いて。勝也がお腹空いてないと思ってわざとお腹が空くように歩いてたんだから感謝しなさいよ。本当は歩きたくなかったのに。』


声が上ずっていたからすぐに気付いた。
あー絶対この人集合場所間違えただけだ。


『それより、やっぱり敬語で話さると他人行儀みたいで嫌。普通に話して。』


いやいや何言ってるんですか、僕たち他人じゃないですか……。

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