君が嫌い
『俺は嫌いな人には皆共通して敬語使っています。この意味を察してください。』


直接嫌いとは言ってないにしても流石に気付くだろ。
ってこれに似たような事前にも言った気がする。


『あ、そっか。私嫌われてたんだ。だけど私は勝也と友達だから。友達同士に敬語は不要なの。』


今まで忘れてたのか、この人アホだ。
しかもなんて勝手な事を言っているんだ、まるで俺の話を聞いていない。


ここまで自分中心に物事考えられる人はそういない。
嫌悪感を通り越して感心すら覚えた。


『だから敬語禁止ね。分かった?』


『は、はぁ。』


もうこれ以上話しても言う事聞く相手じゃない事がよく分かった。


どうせ今日たった数時間の付き合い、それが終わったらもう関わり合うこともなくなる。


それならお望み通り普通に話してやろう。


『着いたわ。予約時間大分過ぎちゃったけど。』


『嘘だろ?』


彼女が指差したその先は俺の想像を遥かに超えている場所で驚きを隠せなかった。

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