君が嫌い
『お前が少し……いやかなり人格破綻している理由がちょっと分かったかもしれない。』


『え?なにか言った?』


『いや、なにも……。』


危ない危ない。また独り言をつぶやいた。
もし彼女に聞かれていても到底理解されないと思うけど。


こう思うのも無理はない。


彼女が指差した場所は超高層ビルだった。
常人なら多分ここに大衆食堂があるとは思わないだろう。


俺もその1人で住所間違えたアホな奴だと思っていたらどんどん先へと歩いていく。


建物内に入り1番近くのエレベーターに乗り込むと最上階を押す。


高層ビルのエレベーターって早いんだね。
ほんの1分くらいで地上200メートルくらいの高さまで昇っていった。


そしてエレベーターを降りた先は貧乏人は一生お目に掛けられないだろう光景が広がっていた。


そこはセレブ御用達の隠れレストランのような場所だった。
気品な服装の人しか見られない。


今日ほどスーツ着てて良かったと思った日はないだろう。

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